民事再生は経営破綻に陥った会社が行う手続きとして知られています。個人の債務整理が可能な個人民事再生手続きもありますが自己破産と混同されることも少なくありません。そこで、個人民事再生の概要や手続きの流れについて紹介します。
民事再生は裁判所に申し立てを行って債務を減額してもらう債務整理手続きのひとつです。個人民事再生手続きには再生計画の認可基準の違いによって小規模個人再生、給与所得者等再生の2種類があります。
小規模個人再生は住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下であり、かつ今後も継続した収入が見込まれる個人が対象となる手続きです。給与所得者等再生は小規模個人再生の対象となる人のうち給与等の安定した収入がある場合に適用となる手続きです。最低弁済額、清算価値のほか、可処分所得の2年分のなかから最も多い金額を最低限返済する必要があります。
民事再生ができる条件
個人民事再生の手続きを行うためには以下の4つの条件があります。
〇将来的に継続した収入見込みがあり再生計画に則った弁済が可能であること
〇引き直し計算後の債務合計が5,000万円以下であること
〇債務者の2分の1以上の不同意がないこと(小規模個人再生)
〇再生計画認可決定後に破産手続きをしていないこと(給与所得者等再生)
民事再生と自己破産の違い
自己破産は原則として借金そのものの支払い義務が免除されるものであるのに対し、民事再生は債務額が大幅に減額されるものの再生計画に沿って継続して返済しなければならないものです。自己破産では持ち家や車など、生活に不必要な財産は処分されますが、民事再生の場合は清算価値保障分を除き全ての財産を処分されることはありません。
自己破産手続きを行うと手続き期間中は警備員などの特定の資格が必要となる職業に就くことが制限されます。しかし、民事再生においては資格制限を受けることはないので日常生活に支障が出ることもありません。
民事再生の主な流れ
民事再生手続きは裁判所を通じて行うものであり、裁判所によって個人再生委員の選任が必要となることもあります。依頼を受けた弁護士は受任通知をすることで貸金業者からの取り立て、返済を停止します。
並行して利息制限法の上限金利による引き直し計算により借金額を確定します。その後は裁判所への申立、個人再生委員との面接などを経て認可決定が確定すれば、再生計画にそった返済を再開することになります。
民事再生の手続きは複雑
個人再生手続きでは、裁判所に提出する申立書類の作成、必要書類の取集などが必要となります。裁判所が個人再生委委員を選定した後には委員との面接や返済見込みについての話し合いなどが行われます。その他にも債権認否一覧表の提出や再生計画案の提出など、複雑で面倒な手続きが必要です。
まとめ
民事再生で当事務所に相談いただければ債務問題の経験豊富な弁護士が最適、最短の方法で問題の解決に当たります。書類作成だけでなく面接などにも弁護士が同席してサポートを行うため負担や不安の軽減にもつながります。